04 高パフォーマー
第4章
業績の高い企業がカスタマーサービスの関係
もちろん、すべての企業がこれまで紹介してきたようなカスタマーサービスの落とし穴に陥っているわけではありません。実際、同業他社より抜きん出ている企業もあります。では、どのような方法があるのでしょう。それは、サービスチームとその他の部署がしっかりと連携することです。その結果として企業はエクスペリエンスを向上させ、業績の向上につながるフィードバックを収集、追跡、実装できる、充実したカスタマーサービスを実現できます。
Zendeskは、自社の組織が提供するカスタマーエクスペリエンスに関する以下の3つの特徴に対し、自己評価の高い企業を「業績の高い企業」と位置づけました。

顧客からのフィードバックに基づき製品やサービスを改善している

カスタマーサービススタッフに十分なトレーニングを提供している

カスタマーサービスのパフォーマンスを包括的かつタイムリーに測定している
この業績の高い企業の割合は、全調査対象のうち5%です。
これらの企業が採用する優れた手法と考え方をご紹介しましょう。
成長の原動力としてのカスタマーサービスを2倍強化
業績の高い企業は、カスタマーサービスチームの本質的な価値を理解しています。またカスタマーサービスの取り組みへの資金調達を優先し、それによってもたらされた事業への影響を注視しながら、必要な変更があれば素早く対応します。
業績の高い企業の特徴:
7.6x
カスタマーサービスを収益の原動力として重視している
6.7x
カスタマーサービスチームの損益状況を追跡して常に把握している
6.2x
企業の成長に合わせてカスタマーサービスへの予算を拡大している
5.2x
カスタマーサービスに十分な資金を費やしていると認識している
3.4x
来年度のカスタマーサービス予算を25%以上増額する予定
トップの戦略的な参加を求める
カスタマーサービスの分野で業界をリードしている企業は、トップからボトムまで社内全員が戦略に賛同しています。カスタマーサービスチームが社内で孤立しているのではなく、パフォーマンスやインパクトを監視する経営幹部が、積極的な役割を果たしています。また多くの場合、上級管理職の報酬が顧客満足度に直接関係しています。
業績の高い企業の特徴:
9.2x
上級管理職がカスタマーサービスメトリックを毎日確認している
7.7x
上級管理職がカスタマーサービスを重要視していると認識している
6.2x
カスタマーサービス部門に経営幹部がいる
5.7x
カスタマーサービスの今後3年間の戦略計画を策定している
4.2x
上級管理職の報酬がネットプロモータースコア(NPS)に直結している
エージェントの潜在能力をフルに引き出している
エージェントは、カスタマーサービスチームのコア機能を果たす重要な存在で、大変で疲労困憊してしまうことがあります。ここ数年、エージェントは新しいツール、チャネル、プロセスに適応しながら、顧客からの高まる期待と増え続ける問い合わせ件数に対応してきました。業績の高い企業は離職率を下げ、従業員をより効果的にサポートするため、トレーニングの充実、周囲の高い共感力と投資が欠かせないことを理解しています。
業績の高い企業の特徴:
9.9x
自社が最高の能力を発揮していると認識している
6.4x
研修やトレーニングの機会を大幅に増やす計画がある
4.3x
エージェントの仕事の負担が大きすぎると感じている
結果として、業績の高い企業のエージェントには次のような違いが生まれます。
9.9x
AIを活用したワークフローに非常に満足している
8.3x
トレーニングの頻度に非常に満足している
新機能を社内全体で統合
カスタマーサービス時代への潮流を先取りしている企業は、最新のトレンドやテクノロジーを常にウォッチしてチャンスを逃しません。これは同時に、チャネルの選択肢が増え、プロセスがより簡素化し、エクスペリエンスが向上することを意味しています。
業績の高い企業の特徴:
6.8x
会話型のカスタマーサービス機能をすでに導入している割合(メッセージングチャネルの追加、1つのチケットを複数チャネルで扱える機能など)
3.7x
エージェントとの会話を開始または一時停止できる機能を持つ割合
2.9x
AIを搭載したチャットボットを活用し、エージェントのワークフローをサポートしている割合
またこれらの企業には、次のような傾向があります。
4.8x
エージェントに問い合わせしないで顧客の身元や取引履歴を確認することに強い関心を持つ割合
4.1x
カスタマーエクスペリエンスの質を評価する基準の見直しに強い関心を持つ割合
3.7x
エージェントが顧客データの全容を把握できる機能に強い関心を持つ割合
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今後の成功を握る2つの投資分野